メタバースで稼ぐというけれど
現時点でもメタバースと考えられるサービスはたくさんありますが、比較的注目度が高そうな、サンドボックスについて、もう少し掘り下げてみます。
サンドボックス(THE SANDBOX)
サンドボックスに加え、他の多くのメタバースでも同様ですが、「Play-to-Earn」という、メタバース内の経済活動(遊び?)を通してお金を稼ぐという方法がブログやYouTubeなどで沢山取り上げられています。NFTの希少性やコンテンツの独自性を基礎にして、メタバース内の暗号通貨で報酬を得ます。
サンドボックスを例にすると、主に3つの方法が挙げられています。
①NFTファイルの売買(ゲーム内アイテムやLandと呼ばれる土地の売買など)
②Land上に作成したコンテンツの使用料(オリジナルゲームのプレイ料など)
③Land自体の賃貸料(コンテンツクリエイターへの貸し出し料など)
ただ、どの方法も(ほんとにそんなんで稼げんの?)という疑念は消えません。
アナログな世界で生活のほとんどを過ごしている私にとっては、①のようなNFTファイルの価値についてはなかなか腑に落ちません。クリプトパンクス(CryptoPunks)というデジタルアートが27億円!という超高額で取引されていることに衝撃を受けました。確かにか可愛くて素敵なキャラクター達です。ただ、その価値が27億円というのに頭がクラクラします。確かに、レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「サルバトール・ムンディ」は508億円!でオークションで落札された最高額のようなので、広義には自分に理解しきれないアートの価値があることは分かりますが。
②や③についても、なかなかうまくいく想像ができません。実はLandは2022年2月の時点で、安くても1区画100万円以上!の値段がついていますが、Landを所有しないとコンテンツが作れません。その上で、個人が作ったレベルのゲームにお金を出してプレイする人、また、メタバース内の土地を借りて、コンテンツを作りたい(賃料を払ってもビジネスとして採算がとれる)というような特異なクリエイターがそうそういるとも思えません。
私の感覚でいうと、唯一採算が取れる場合は広告料だと感じます。もしも独自のLand(コンテンツ)人気が出て、訪れるユーザーが増えた場合に、そこに広告主が現れるというストーリーはかろうじて理解できます。
実際には、サンドボックスはまだ開発中でプレイできない状態のため、投資家の視点での報道ばかりが取り沙汰されています。投資家が離れてしまっては開発もできないという事情は分かりますが、特に、サンドボックスを純粋にプレイするユーザーの視点を大切にすることができなければ、大きな成功はないと思っています。
そうしたことから2003年に運営開始をし、一世を風靡したセカンドライフ(Second Life)というメタバースの二の舞という意見が多いのも納得できます。
しかしながら、私のものさしで測ってしまうと、どう考えてもうまくはいかないメタバースですが、未来にどうなるかはまったく分かりません。このままでは厳しい未来が待っていそうですが、単純に切り捨ててしまうには惜しい気がします。作り上げて行く過程で別の価値や視点が見出されることに期待したいです。
なかなか理解できないものの、メタバースを考えることは続けていきたいと思います。ちなみにサンドボックスのα版のシーズン2が2022年3月3日から開始されるようです。