その家庭に合わせた優先順位
幼児教室やピアノ、水泳など、習い事をどうするかは、特に就学前のこども達をもつ子育て世代の皆様にとってはとても悩ましい問題かと思います。「自分のこどもにはこんなことをさせたい!」と強い思いのある保護者の方々にはあまり共感されない事柄かもしれませんが、私のように、自分の人生にとりわけ自信があるわけでもなく、どちらかと言えばこども達に自分のような人生は歩んで欲しくないと思っている人間にとって、習い事の選択はなかなかハードルの高い決断です。
ちなみに私のバックグラウンドは、北関東生まれの純正ジャパニーズで大卒、両親は高卒で日本語すら薄弱、習い事は書道のみ少しだけ、という感じです。
我ながら貧相な経歴ですが、仕方ありません。自虐というよりは、こういった人間の意見なので、その程度と受け止めていただきたいという前置きです。
田舎に比べ、都会は選択肢が多く、とても恵まれた環境にあります。反面、あれもこれもと習い事をしてしまうと、親にとっての資力の問題と、こども達の気力体力の問題で、簡単に限界が来てしまいます。できるだけ費用対効果に優れ、こども達に合っている学びや訓練の場を与えたいというのが、一般家庭の保護者にとってある程度共通する思いではないでしょうか。
それゆえに、その家庭の状況に合わせた優先順位をつけるのが大切だと思います。例えば、一流ピアニストのご子息であれば、才能はお墨付きで見切り発車で音楽の才能を伸ばそうと思えますし、ご両親が資産家で私立お受験必至のご家庭であれば、幼児教室は不可欠でしょう。しかし、梵家は凡人の両親(私と妻)に加え、それぞれの祖父母から脈々と受け継いだ平凡な流れがあり、限られた分野への特別な思い入れはありません。わざわざ文京区に公立学区遷をしたくせに、英才教育に対するスタンスは緩めという矛盾をはらんでいます。そのような背景も踏まえた梵家の優先順位は、おおむね下記のようになります。
①社会的に必須かどうか
②その子に合っているかどうか。
③将来、自立を支え得るかどうか。
④親の好みかどうか。
①については、英語やマネーリテラシー、IT(ICT)などが当てはまります。その子に合っている云々は問わずに、今後の世界を生き抜くために必須だと考えます。
②のように、その子にとって、合う合わない(向き不向き)も大切だと思います。仮に不向きでも、続けることによってある程度は伸びると思いますが、考えることが好きな子や運動が好きな子など、それぞれの得意分野であれば、より良い結果を伴う可能性が高いと考えます。
③については、どうせ多額のお金と貴重な時間を使って習い事をするのであれば、将来の生業につながりやすいものを選びたいということです。打算的ですが、プロリーグがあるスポーツ、個人教室を開きやすい芸術や武道、ニッチで好成績が残しやすい分野など、できるだけ見返りの期待値が大きめなものにしたいです。
④については、各ご家庭において、どうしても好きになれない(応援しがたい)分野があるだろうということです。例えばボクシングなどは、スポーツとしてもエンターテイメントとしても完成されていると思いますが、我が子が危険な目にあうことを望まない保護者の方も多いでしょう。
今後は習い事の各論について、少しずつ述べていきたいと思います。